バケモノ

作詞:秋田 ひろむ 作曲:秋田 ひろむ

彼は化け物 嘘を食らう獣 月曜の朝に捨て犬のように公園で出会う
濡れたアサガオ 真夏の太陽の 真下で倒れ 息も絶え絶え 怯えた目玉で

しなびた体毛を撫ぜれば ひきつる口元 痩せこけた体躯
それは憐みだったか、情けなのかどうか 僕の嘘を一つあげようか

例えば僕は今消えたいのに 嘘をついてる 嘘をついてる
家族の手前、学校には時間通り出掛けるんだよ
そして今日も楽しかったんだと 嘘をついてる 嘘をついてる
こいつを食らえ なあ化け物、ずいぶんうまそうに食うもんだな

彼は化け物 嘘を食らう獣 腹を満たして僕に懐いて 見る間に育って
僕は除け者 飛び降た歩道橋 病院の窓 すすり泣く母 木立ちに夕焼け

もの欲しそうな表情浮かべ 次第に肥大するその体躯
次の嘘をもっともっととせがむもんだから そうか 僕の嘘を一つあげようか

ほんとは僕、死に損なったのに 嘘をついてる 嘘をついてる
家族の手前 「運が良かったんだ」と 悪びれて笑ったよ
そして今日も息をするみたいに 嘘をついてる 嘘をついてる
こいつを食らえ なあ化け物、ずいぶんでかく育ったもんだな

僕の背丈を超えた化け物 嘘の塊みたいな僕を 綺麗さっぱり食べてくれないか
「生きるのが辛かった 苦しくてしょうがなかった
だけど辛いと思われるのが 一番辛いことだから」
ようやく本音叫んだら 化け物は見る間に萎んだ
でもね僕はまだ嘘を隠してる 自分さえ騙す僕の嘘を 

ほんとは笑って生きたいくせに 嘘をついてる 嘘をついてる
理想、現実 そのずれを 埋めるための仮初の夢想なら
弱い僕らに嘘は必然か 今日も誰もが 嘘をついてる
そいつを食らえ なあ僕らは、表裏一体の実像と影

彼は化け物 嘘を食らう獣 一人に一人 誰も彼もが背後に匿う
その隠し事 蓋をしてる腫物 君の背後にそびえ立つ影 ずいぶん巨大だな

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